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【令和4年度税制改正大綱まとめ】2021-12-15 00:00

カテゴリ: お知らせ

みなさまこんにちは!
今年も来年度の税制改正について考える時期がやってまいりました。

毎年この時期になると税制改正大綱(税制改正案)が与党から発表され、この改正案をもとに来年3月に税制改正の本決定がなされます。

税制改正大綱の詳細は100ページ超にわたり、我々専門家であっても一回読んで理解することは難しいです。

本日は、皆様に税制改正大綱の全体像を知っていただくために、重要な部分をピックアップして簡潔に解説していきたいと思います。


【税制改正大綱】
1.所得税関係
①住宅ローン控除の改正
適用期限が令和7年12月31日まで4年間延長され、令和4年からは控除率0.7%・控除期間13年(現行:控除率1.0%・控除期間10年)となり、増税傾向であると伺えます。
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近年、住宅ローン金利が大幅に下がっており、実際金利より控除率の方が高くなってしまっていることへの措置であると考えられます。

※令和4年度以降は合計所得金額が2,000万円以下の方が適用となります(現行3,000万円以下)


②子会社等からの配当等に係る源泉所得税の廃止
下記の法人から受ける配当については所得税の源泉徴収は不要となります。
・完全子法人株式等(100%保有会社)
・基準日において保有割合が発行済株式等の3分の1超である会社

※令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用


③配当所得が総合課税される大口株主の範囲の拡大
上場株式等の保有割合が3%以上となる大口株主については、税率20.42%の分離課税が適用されず、他の所得と合算して計算される総合課税が適用されることとなります。

これまでは、大口株主の範囲は株式を保有する人だけでしたが、ここにその人が支配関係を有する同族会社も追加されることとなりました。

※令和5年10月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等について適用


④納税地の変更等に関する届出書の提出不要
これまでは、納税地の変更や異動がある度に管轄税務署に届出書の提出が必要となっていましたが、今後その提出は不要となります。

※令和5年1月1日以後の納税地の変更等について適用


⑤上場株式等の配当所得等に係る課税方式の改正
個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の課税方式を所得税と一致させることとなり、住民税だけ申告しないという方式を取ることができなくなりました。

※令和6年度分以降の個人住民税について適用


2.資産税関係
①住宅取得等資金の贈与の非課税措置等
直系尊属から住宅取得のための資金贈与を受けた場合の贈与税の非課税期間と非課税限度額は下記のとおりです。
・適用期間:令和5年12月31日まで(2年延長)
・限度額:耐震、省エネ又はバリアフリー住宅用家屋 1,000万円
  〃 :上記以外の住宅用家屋 500万円
また、令和4年4月1日以後に取得する住宅取得等資金に係る贈与税については、受贈者の年齢要件が20歳以上から18歳以上に引き下げられます。(民法改正による変更)


②土地に係る固定資産税等の負担調整措置(令和4年度限り)
商業地等の令和4年度の課税標準額を、令和3年度の課税標準額に令和4年度の評価額の2.5%(現行5%)を加算した金額とされます。


③財産債務調書制度についての見直し
現行の財産債務調書の提出義務者に、財産の価額の合計額が10億円以上である居住者が追加され、提出期限がその年の翌年6月30日となり、提出範囲が広がることとなりました。

(現行:その年分の退職所得を除く所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産(有価証券等)を有する場合に提出が必要。提出期限はその年の翌年3月15日)

※令和5年分以後の財産債務調書又は国外財産調書について適用


3.法人税関係
①人材確保等促進税制の改正
適用期間や適用要件が下記のように変わります。
・適用期間:令和4年4月1日~令和6年3月31日までに開始する事業年度
・適用要件:継続雇用者給与等支給額が、前年度より3%以上増加
・控除額:控除対象雇用者給与等支給増加額×15%
・上乗せ:継続雇用者給与等支給額の増加割合が4%以上→控除率10%加算
  〃 :教育訓練費の額が前年比20%増→控除率5%加算

※控除税額は当期の法人税額の20%を上限とする(所得税も同様)

(制度概要)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/pdf/jinkakuzeiseipamphlet20210830.pdf


②所得拡大促進税制の改正(中小企業者向け)
適用期間や上乗せ措置が下記のように変わります。
・適用期間:令和4年4月1日~令和6年3月31日までに開始する事業年度
・上乗せ:雇用者給与等支給額の増加割合が2.5%以上→控除率15%加算
  〃 :教育訓練費の額が前年比10%超→控除率10%加算

(制度概要)
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai03guidebook.pdf


③少額減価償却資産の損金算入特例の改正
対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供した資産を除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様)こととなりました。

いわゆる、足場レンタル節税やドローンレンタル節税といわれるものが封じ込められるかたちとなりました。


4.その他
①電子取引に係る請求書等保存の宥恕措置
令和4年1月1日以降の電子取引にかかる請求書等の電磁的記録の保存は、原則電磁的保存をする必要があることとなっておりますが、電磁的保存をできなかったことについてやむを得ない事情があると所轄税務署長が認め、かつ、求められたときに書面の提示ができるようにしている場合は、令和5年12月31日までは書面保存が認められます。

※電子帳簿保存法については、こちらの記事で詳細をご確認下さい
https://litrus.jp/blog/index.php?c=blog_detail&pk=1636003191


②仮装隠蔽行為に基づく確定申告に関する措置
仮装隠蔽行為に基づいて確定申告書を提出した場合、又は確定申告書を提出していなかった場合には、帳簿書類や明らかな証拠書類等がない限り、その他の経費・費用については必要経費・損金算入しないことが明確化されました。

調査により経費や費用の範囲が長期間確定できないことにより、調査が長引くことを避けるために取られる措置ではないかと考えられます。


③修正申告書等、更生請求書等の記載事項の整備
修正申告書及び更生請求書の記載事項から、その申告前又はその請求前に係る前の課税標準等、納付すべき税額の控除金額及び還付金の基礎税額が除外されることとなり、様式が簡素化されたと考えられます。


④適格請求書等保存方式(インボイス)に係る見直し
免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合は、その登録日から適格請求書発行事業者となることができます。

なお、上記適用を受けた場合は、登録日以後2年間は免税事業者に戻ることができませんので、ご注意下さい。

※インボイス制度については、こちらの記事で詳細をご確認下さい
https://litrus.jp/blog/index.php?c=blog_detail&pk=1625116737


⑤税理士制度の見直し
納税者の利便性向上、税理士業務の効率化を推進していくことが税理制度の規定に加えられ、税理士事務所に該当するかどうかの判定について、設備や使用人の有無等の物理的な事実により行わないこととなりました。これらはテレワーク等に対応するための措置だと考えられます。

また、税理士試験の会計科目(簿記論、財務諸表論)の受験資格が撤廃されることになり、近年減少傾向の税理士試験受験者を増やし、業界全体に若手を呼び込むための措置と考えられます。


本日は、税制改正大綱による大きな変更や重要なポイントを取り急ぎピックアップして解説いたしました。

当記事で、まずは税制改正の全体像を抑えて頂き、個別の論点についてはリトラスにご相談いただければと思います。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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