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【地震や台風などで壊れた会社の固定資産の修理代は全額経費にできる?】2018-10-11 00:00

カテゴリ: 節税

 地震や台風などで会社の資産が損壊してしまったとき、どうされますか?
使えそうなら、そのまま使う!
この機会に買い替える?
その資産が無いと事業ができないので修理することになりそう…
様々な状況があるかと思います。
 
 これまで顧問税理士の先生に製造用機械等を修理したとき、
「全額、修繕費で大丈夫です」
「今回のものは資産計上する必要があります」
といったことを言われたことがあるかと思います。
 
 そこでこんな疑問を持たれるのではないでしょうか?
「災害にあった資産の修理代は全額経費にできるのだろうか?」



 同じように疑問を持たれたお客様がご相談にいらっしゃいました。
 どんなお話が行われたのか見てみましょう。


社長「先生、この間の台風、大変でしたよ!工場の屋根が風で飛んでいくわ、ガラスが割れるわで」

税理士「特に今年は台風だけでなく、大きな地震も起きてますからね」

社長「今回の台風で被害に遭った屋根の修理代やガラスの取替えに掛かったお金って、全額、今期の経費にしても大丈夫ですよね?せっかくだから、他にも古くなってるやつの修理とかもしようと思ってるんですけど」

税理士「社長、ちょっと待ってください!全部が全部、修繕費として経費にできるわけではないんです。具体的にはどのような補修を行おうと考えていらっしゃいますか?」

社長「え、そうなんですか?払ったものはできるだけ経費にしたいんですけど・・・。まず、最優先でやらないといけないのは割れたガラスの取替えです。これは修繕費で大丈夫ですよね?」

税理士「もちろん大丈夫です。ガラスの取替え費用は経費にできます」

社長「じゃあ、飛んでいった屋根の修理は?」

税理士「こちらも大丈夫です。被災前の状態に原状回復するために掛かったお金は修繕費として経費にできます」

社長「よかった。あとは、製造用の機械装置ですかね。屋根が飛んで行って元々雨漏りしていたところがよりひどくなっちゃって。機械が痛んじゃったので修理しつつ、ボロボロになってる部分をグレードアップしようかと考えています」

税理士「社長、それはさすがにすべてを修繕費で処理することは難しいかもしれません」

社長「なんでですか?ボロボロなものを修理するんですから、修繕費じゃないんですか?一応台風で被害を受けた屋根の影響でさらに痛んだんですよ?」

税理士「ボロボロの部分を直すところは修繕費で問題ないのですが、グレードアップする部分は難しいですね。国税庁がQ&Aで、被災資産以外の資産の耐久性を高めるための工事は資産計上すると回答しています。そのため減価償却費として毎期、経費化していくことになります」

社長「それだったら買い替えようかな。でもそうなっても、どのみち減価償却になりますもんね」

税理士「社長、ご安心ください。実は今なら一括で経費にする方法もございます」

社長「そうなんですか?」

税理士「一括で減価償却できる経営力向上計画の認定を受けると、普通は一括で減価償却できない資産であっても特別償却という形で一気に経費にすることができるんです」

社長「そんなものがあるんですか?どうやって認定を受けることができるんですか?ぜひ受けたいんですけど・・・。あ、あと、自宅も被害にあったんですけど、個人の場合も税金がお得になる方法とかないんでしょうか?」

税理士「もちろん、災害に遭った場合の個人の所得税の優遇措置があります。あと、経営力向上計画の申請についてはですね・・・」



 経営力向上計画の認定の申請については大変だと思いますので、顧問税理士の先生へ一度ご相談し、そちらへお願いした方が良いかと思います。併せてどのような場合が修繕費として処理できるのかの判断も専門家へお尋ねください。

 もし、その先生が最新の税制に詳しくないということであれば、リトラスでお手伝いさせていただきたいと考えていますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。

 また、個人の所得税の優遇措置については次回書かせていただきますので、そちらもぜひ読んでいただければと思います。


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 上記の判断については、法人税基本通達7-8-6『災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例』により行われておりますので、その通達の内容をご紹介させていただきます。

『災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例』
 災害により被害を受けた固定資産について支出した次に掲げる費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、それぞれ次による。
 
①    被災資産につきその現状を回復するために支出した費用は、修繕費に該当する。
②    被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用について、法人が、修繕費とする経理をしているときは、これを認める。
③    被災資産について支出した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるか明らかでないものがある場合において、法人が、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める。

 
 上記の通り、基本的には、被災資産の修理代金については修繕費として処理すれば、その処理が認められ経費にすることができます。
 ただ、注意が必要な点もあります。上の会話でもあった通り、被災資産を復旧する代わりに資産を取得した場合等は、修繕費として経費にすることはできず、新たな資産の取得として資産計上し、減価償却費として毎期、経費化してくことになりますのでご注意ください。 


 
参考:申告・納付等の期限の延長等について
 地震や台風等の被害に遭ったため、申告や納付が期限までにできない場合はどうすれば良いのでしょうか?
 これに関しては税務署長に対して延長の申請をして、承認されれば、申告や納付の期限を延長してもらうことができます。
 また納税の猶予を受けられる期間は、損失の程度によりますが、納付の期限から1年以内となっています。

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